この恋を叶えてはいけない
こみ上げてくる、熱い想い。
もう目の前の視界は、涙でにじんで何も見えなくて
こんなにも苦しい感情があると初めて知った。
「あたしだって………
同じだよっ……」
そう吐き捨てるのにいっぱいいっぱいで
涙声になって、それが伝わっているのかも分からない。
だけどあたしを抱きしめる駿の腕の力が強くなったのは確かで
あたしもたまらず、その背中に腕を回した。
もしもあの日
男と女で出逢わなければ
きっと今、こんなにも辛い想いをしないで済んだ。
だけど巻き戻せない。
あの夜の海での時間。
あの日、
あたしたちが惹かれ合ったのは
兄妹だったからなのかな………?