この恋を叶えてはいけない

あっという間に土曜日になって、あたしとお母さんは予約している店に向かった。

お母さんの機嫌はとてもいい。


「嬉しそうだね」

「あったりまえよー!
 長年会えなかった息子との食事なんだもの。

 本当はね……唯香だけじゃなく、駿もお母さんが引き取りたかったのよ。
 だけど、お父さんとお母さんの場合、気持ちのすれ違いだから、どちらかに不平があった、ってわけじゃなかったからね…。

 子どもを一人ずつ、親権にもつってことになったの」


そう話すお母さんの顔は、本当にさみし気で、あたしと同じように駿のことも愛していたんだと伝わった。


「ちょっとね、怖かったんだ。
 駿はお母さんのこと恨んでるんじゃないかって…。
 だから駄目元で食事に誘ったんだけど、そしたらすぐにOKしてくれて。

 嬉しかったなぁ…」


顔をほころばせ、笑顔になるお母さん。

あたしもつられて微笑んだ。
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