この恋を叶えてはいけない
「どう、したの……?」
駿の姿を見て、トクントクンと鼓動が早まっていく。
こんなの…おかしいのに……。
「やっぱ心配になって」
「え?」
「電車、動いてねぇんだろ?」
「うん……」
「行く宛とかあんの?」
「それはこれから……」
「じゃあ、俺んちに来いよ」
「え?」
少し予想はしていたけど、その言葉に戸惑ってしまう。
駿が嫌なんじゃない。
嫌なのは……
自分が理性を保っていられなくなりそうだから……。
「でも……」
「部屋、余ってるから。
鍵もかけられるし、余計なこと気にしなくていいから」
もしかしたら、駿も同じことを考えていたのかもしれない。
だから、お弁当を買った時に、すぐに切り出すことができなくて……。
深いことなんて考えちゃいけない。
考えるほうがおかしい。
あたしは泳ぐ目を、駿のほうへ留めると……
「……お願いします…」
駿を頼ることにした。