この恋を叶えてはいけない
「あがって」
「お邪魔します……」
初めて来た駿の家は、あたしとお母さんの家よりもずっと立派だった。
オートロック式のマンション。
管理人も清掃の人も携わっていると思われる綺麗さ。
駿の家は、10階だての9階だった。
「とりあえず、シャワー浴びてこいよ。
適当に、俺の部屋着出しとくから」
「でも駿だってびしょ濡れじゃんっ」
「俺はタオルで拭けば大丈夫だから」
「でも……」
「それとも、一緒に入る?」
「え!?」
その言葉に驚いて顔をあげた。
だけど、駿は面白そうに笑っているだけで……。
「か、からかわないでよっ」
「はいはい。
じゃあな」
駿はあたしをお風呂場へ押しやると、一人で部屋の奥へ行ってしまった。