この恋を叶えてはいけない
「お風呂…ありがと」
「……ああ」
お風呂リビングへ向かうと、駿はソファーに座って本を読んでいた。
「ダボダボだな」
「え?あ、うん」
駿から借りたスウェットは、当然あたしには大きい。
ズボンは紐で結べるので、なんとかずり下がることはなかったけど、袖は指先まですっぽり埋まってしまう。
「その格好、やばい」
「……」
「から、俺もシャワー浴びて、頭冷やしてくる」
どこまで本気で、どこからからかっているのか…
どういうつもりでそんな言葉を言っているかわからない。
だけど駿の一言一言で、一喜一憂する。
「あ、お母さんに電話しなくちゃ…」
ふと、思い出した。
今日はお母さんは日勤だから、もう家に帰ってる。
あたしが遅いことには慣れてるけど、帰れないとなったらちゃんと連絡しないと。