この恋を叶えてはいけない
「は、早いねっ」
「俺は朝風呂派。
シャワー浴びただけだから」
「そっか」
予想外の早さで上がった駿に、心の準備ができていなく、心臓がバクバクいってる。
「で?なんで友達って言ったの?」
ボスっと音を立てて、少し間を開けた隣に座る。
あたしはちらりと駿の顔を見て、すぐに逸らした。
「そんなの……駿が一番わかってるでしょ」
お互いに、伝え合わないだけで、気持ちは確信してる。
苦しいなど、辛いなどは言い合うけど
決定的な言葉は言えなくて……。
駿は突っ込んできた割には、それ以上何も言わなくて、立ち上がると一つの扉を開けた。
「ここ。親父が使ってた部屋。
今日はここで寝ろ」
「あ、……うん」
お父さん、と聞いて、少しだけ緊張した。
全く実感の湧かない、実の父親。
綺麗に整頓され、生活感はほとんどなかった。