この恋を叶えてはいけない
「親父の部屋って言っても、ほとんど仕事で帰ってこなかったから。
寝に帰ってくるだけ」
「そう、なんだ……」
それを聞いて、少しだけさみしい気持ちになる。
確かにあたしとお母さんは、駿たちに比べて貧しい暮らしをしていたかもしれないけど、愛情溢れる家だったと言える。
どちらが幸せかなんて言わないけど、
なんとなく、この広い部屋で、いつも一人で駿が過ごしていたんだと思うと悲しくなった。
「じゃ、俺はもう寝るから。
おやすみ」
「おやすみなさい」
パタンとドアを閉められ、部屋に静寂が訪れる。
電気を消して、布団に入った。
早く寝よう……。
そう思っているのに……。
ピカッ…!!
ゴロゴロゴロ…
「…っ」
窓の外が光り、体がビクッとした。