この恋を叶えてはいけない
「俺たちが海で出逢った日……
お前が傷心旅行をした日だよ」
「あ……うん。そう」
自分でも忘れかけていたけど、確かにあの日は、あたしの誕生日だった。
貴志と行く約束をしていて、
だけどそれが出来なくなって、傷心旅行がてらに一人で行って……
「誕生日…プレゼントだったのかなぁ……」
「は?」
天井を見上げて、なんとなく思う。
今まで、駿とのあの夜に出逢ってしまったことは
神様からのひどい悪戯にしか思っていなかった。
こんな仕打ちはひどすぎる、って……。
だけど……
「あたしにとって……
今年の誕生日ほど、胸に刻み込まれた日はないよ」
複雑な表情になってしまったけど
笑顔をつくって、駿に向けた。