この恋を叶えてはいけない

「唯香……」

「あたし、駿に抱かれた時……
 人ってこんなにも感じられるんだ……って思った。

 だけど元彼と別れたばかりだったし、旅先での出会いだったから、この先はないって分かってた。
 だから体ではすごく惹かれてたけど、心では絶対に惹かれないようにしよう、って……」


あの時感じた、本能。

名前しか知らない男に抱かれ
自分がこんなにもふしだらな女だったのかと思い知った。


だからもう二度と、こんなことはないようにと。
あの一夜は、自分の中だけに封印された思い出……。


「なのに……っ…」


ツーっと流れた涙。

これ以上流したくなくて、慌てて天井へ視線を戻すけど、瞼にたまりきれず流れ落ちてしまう。



「こんなに近くにいてっ……

 好きにならない、なんて無理だよぉっ……」

 
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