自殺教室
「弱気にならないでくださいよ!私は…カヨコさんと同じような罪かもしれません!だから…」

そう、杏可さんが言うと…黒い靄が消えた。


「⁉︎一体…どうして…!」

目の前には、トオル君に似た小さな男の子。

-ヨカッタ、ダケド、ぼくはニドト戻れない…

けど、その子は右半分が靄で顔が隠れている。


-ヨカッタ…ダケド、ニガサナイ…
現れた男の子はそう言って、消えた。


「…なんだったんだろうね。カヨコさんが無事ならなんでも良いけど!」

…一体なんだったの?あの子。



「カヨコさん、どうしますか?」


「どうすることも出来ない…むやみに動くわけにもいかないわね…」

歩いたとしても、この靄の中には変わりない…


歩けど歩けど、この闇の中…

「カヨコさんからは、離れない方が良いですよね!」
それは、決定事項?


「そう、ね…」
そうした方が良いわね。


トオル君…私ね、トオル君と…


「カヨコさん?」

「あ、何でも…むやみに出歩かないで、取り敢えず、このままで…」

いまは、犠牲が出ない事を祈ることしか、出来ない…かな。


——————…
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