月夜と薔薇
―ガラガラガラ


誰か入ってきた。

その音で目が覚めた。

入ってきたのは大学生風の金髪の男。


「あれ?こんなとこでどうしたの?さぼり?」

そして声をかけられた。

「別に…あなたこそなぜこんなところにいるんですか?ここの生徒じゃないのに」

「あー俺?ここの卒業生。懐かしくて来てみた。君そんな睨まないでよ。かわいい顔が台無しだよ?」

なんてチャラそうなセリフを呟いて先輩は近づいてきた。

「…あれ?顔色悪い?大丈夫?」

「大丈夫です。人酔いしたんで休んでるだけです」

…嘘ではない。

「ホント?」

そう言って額に手を当ててきた。

私は思わず払いのけた。

見知らぬ男に触られるとか無理。

「ごめん…嫌だった?熱あるように見えたからつい…」

「払いのけたりしてすみません。熱あると思います。」

「保健室行く?」

「…はい」

そう言って立ち上がろうとしたら崩れ落ちた。

「大丈夫!?」

そう言って支えようとしてくれた先輩を振り払ってしまった。

「ごめ…んな…さい」

目の前がくらくらする。

限界かもしれない。

先輩を払いのけてしまった以上、そのまま立ち上がれないでいるしかなかった。



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