shortstory
部活も終わり、自主練習もせずに家への帰宅を急ぐ。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
機械的に返される挨拶。
「…お姉ちゃんの様子は?」
「今日は調子も良くてね。お母さんと一緒に散歩に出掛けたの。」
そう答えたのは母ではなく私の姉の美優。
美優の姿を認識すると母は
「駄目じゃない寝てなきゃ。調子が良かったとはいえ久々の外出だったんだから。」
「大丈夫だから、心配しすぎ。」
少し鬱陶しそうにけど嬉しそうに言った。
「心配よ。こないだも急に熱出したりしたでしょ。また、なるかもしれないじゃない。」
姉は生まれながらに体が弱く、少しの運動でさえ負担になってしまう。
事務教育を終えてからは通信制の学校を選び、家で勉強ができるように家庭教師を雇っている。
「一ヶ月も前のことでしょ。大丈夫最近体の調子いいんだから。」
今なら飛べそう。だなんて冗談を言う姉。