*スケッチブック*　～初めて知った恋の色～
その質問に答えることはできなかったけど。

さっきよりさらに真っ赤になったわたしの顔を見てマリちゃんは何かを悟ったような満足げな笑みを浮かべた。


「じゃね。バイバイ」



――ガラガラ……ピシャン……


ドアが閉まる音が、湿気を帯びた部屋にやけに響いた。


どうしよう……。


マリちゃんが気付いたってことは、ひょっとして……

シィ君にもバレちゃった？


いつかは、告白しようと思ってるんだもん。

それが早まっただけ。


でも、まだダメ。

だって心の準備が……。



ヨロヨロと近くにあったイスに腰掛けた。


いったい何を怖がっているんだろう。

この気持ちを知られることに、なんでこんなに怯えているの？


『わたしなんか……』


ついこの間封印したはずの言葉がやっぱり頭をよぎる。

わたしなんかが好きだって知ったら、彼はどう思うだろう。


困るかもしれない。

迷惑に思うかもしれない。

ひょっとしたら、気まずくなって、今までみたいに話しかけてくれないかもしれない。


片思いをしている女の子はみんなこんな不安を抱えているのかな？




１人残された美術室。

ネガティブな発想がわたしの頭の中でぐるぐる回り続けた。


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