*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ブッ! あははははははははは―――!」


「だ―――! うっさい! お前、さっきから超うざいねんけど」


ベッドへ近づいて、ユウの手の中にある物をひったくった。


「ナオ、ひどい! 返してよー!」


ユウは足をバタバタさせて怒る。

今まで自分が読んでいた漫画を取られて、うらめしそうな顔をオレに向けた。



そう。

ユウはオレの部屋に突然やってきたかと思えば、ベッドで横になってオレの漫画を読み漁っていたんだ。

さっきはギャグ漫画に悶絶してたってわけ。

ウケすぎやっちゅうねん。



「漫画、禁止!」


オレは冷たく言い放って、また机に向かった。


「だって、ヒマやねんもん……。ナオ、相手してくれへんし」


クルンってイスを回してベッドの方へ体を向けた。


「オレは忙しいねん。今、お勉強中ですから」


夏休みも残すところあと数日。

オレは残していた宿題をやっつけてるところだった。


ユウは突然何かを思い立ったような顔をして、ムクッと起き上がった。

そしてベッドの端に座りなおしてこちらを向いた。


「なぁなぁ! ナオって……彼女おらへんやんな?」


おいおい。

オレ、今忙しいって言ったんですけど……。


「好きな人は? 好きな人はおる?」

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