*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
・最悪のバースデー
今日で夏休みが終わる。
わたしはキャンバスや絵の具を片付けて、それから床や机を簡単に掃除した。
いつもよりスッキリした美術室。
1人で椅子に座り、なんとなくスケッチブックを開く。
そこにはわたしの目に映ったシィ君の姿が描かれている。
何枚も、何枚も……。
スケッチブックの中のシィ君の顔を指でなぞる。
1年前は名前すら知らなかった人。
今なら目を閉じていても描けるんじゃないかってぐらい、彼の姿はわたしの目や頭の中や指先にしっかり刻み込まれている。
シャープな顎のライン。
笑うと細くなる少し垂れた目じりと、それに反比例するような弓なりの眉毛。
真っ黒で少し長めの前髪を掻きあげる時は照れている証拠。
細身なのにちゃんと筋肉のついた体。
それから大きな手と細い指。
それから……それから……。
「ちぃちゃん!」
わたしの心臓をいつも震わせる低い声。
振り返ると彼がいた。
今の今までスケッチブックの中にいたその人は窓から顔を出してこちらを見ている。
慌ててスケッチブックを机に伏せた。
わたしはキャンバスや絵の具を片付けて、それから床や机を簡単に掃除した。
いつもよりスッキリした美術室。
1人で椅子に座り、なんとなくスケッチブックを開く。
そこにはわたしの目に映ったシィ君の姿が描かれている。
何枚も、何枚も……。
スケッチブックの中のシィ君の顔を指でなぞる。
1年前は名前すら知らなかった人。
今なら目を閉じていても描けるんじゃないかってぐらい、彼の姿はわたしの目や頭の中や指先にしっかり刻み込まれている。
シャープな顎のライン。
笑うと細くなる少し垂れた目じりと、それに反比例するような弓なりの眉毛。
真っ黒で少し長めの前髪を掻きあげる時は照れている証拠。
細身なのにちゃんと筋肉のついた体。
それから大きな手と細い指。
それから……それから……。
「ちぃちゃん!」
わたしの心臓をいつも震わせる低い声。
振り返ると彼がいた。
今の今までスケッチブックの中にいたその人は窓から顔を出してこちらを見ている。
慌ててスケッチブックを机に伏せた。