*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
一斉に立ち上がると、急いで駆け寄った。


さっきからブランコで遊んでいた男の子がそこから落ちたのだ。




「う……わーん!!」


わたし達の叫び声に驚いたのか、そもそもブランコから落ちたのが痛かったのか、男の子は堰を切ったように泣き始めた。


「ボク、大丈夫?」


男の子の膝からは血が出ている。


「うわぁ。痛いね、痛いね……」


どうしよ……。

あ……そだ。


スカートのポケットを探った。

さっきシィ君のために取りに行った絆創膏。

それを取り出して、男の子の目の前に掲げた。


「ホラ! プーさんだよー!」


それは、ディズニーの熊のキャラクター柄の絆創膏だった。

男の子はピタッと泣き止んで、キョトンとそれを眺めている。

まだ胸をヒクヒクさせてるけど。


「プーさんが、ニコニコ笑ってるでしょ? これをボクのお膝に貼ると、痛いのどっかへ行っちゃうんだよ」


わたしはペタリと男の子の膝に貼った。

そして、子供の頃から何度も聞いたおまじないをかけてあげる。


「痛いの痛いのとんでいけー♪ チチンプイプイ♪」


男の子はまだ目に涙をためていたけど、ニッコリとわたしに微笑んでくれた。

可愛いなぁ……。

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