*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「シィ君って、何ていう香水つけてるん?」


「へ? 香水? そんなんつけてへんよ」


シィ君はムクッと起き上がってそう答えた。


「ええ! うそっ! だって、いっつもめっちゃいい匂いするもん」


「んー? そうかな?」


そう言いながらシャツの腕のあたりをクンクンと匂っている。


「あ! ひょっとして、柔軟剤かな?」


「え……? 柔軟剤?」


「うん。うちオカンが外国かぶれで、ナントカいうアメリカ製の柔軟剤使っとんねん。その匂いがめっちゃきついから、多分それやと思うわ」


シィ君はそう言うと、腕をわたしに近づけてきた。

匂ってみ? って表情で。

わたしは顔を彼の腕に寄せた。


フンワリといつもの香りがした。


「あ。ほんまや……。この香りや……」


シィ君はきついっていうけど、わたしはこの香り好きだなぁー。

なんていう柔軟剤なんだろ?

今度教えてもらおうかな。

なんて考えていると、ふいに頭のすぐ上で声がした。


「ちぃちゃんはシャンプーの匂いがするな」


その声に驚いて、咄嗟に顔を上げてしまった。


――ドキンッ

って心臓が跳ねた。
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