*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
背後から聞こえたその声に驚いて、わたし達は飛びのくように離れた。

振り返ると、いかにもワンパクそうな感じの男の子が3人、こちらを見てニヤニヤ笑ってる。


「してへんわ!!」


シィ君はそう叫ぶと子供達の方に向かって走りだした。


「わー。にげろー!」


「待てコルァ! エロガキー!!」


シィ君は逃げる子供達を本気で追いかける。

とうとう、その中のひとりを捕まえると肩に担ぎ上げてしまった。


「うわー。やめろー! おろせー!」


背の高いシィ君の肩の上で文句を言いながらも喜んでいる男の子。


「怪獣だー! やっつけろー!」


そんな憎らしいセリフを口にする子供達に囲まれたシィ君は、次々と子供達を抱き上げていく。

いつの間にかシィ君の周りは子供でいっぱいになって、みんなキャーキャーと叫んで喜んでいた。



クスッ。

ちゃんと子供の相手できてるやん。


女の子は子供に対する母性を持っているかもしれないけど。

きっと男の子にだって、わたし達女の子にはできない子供との接し方があるんだよ。


本気で子供達の相手をするシィ君を見てると、口元が緩んでしまう。

なんだか、かわいい……って、思った。

あの人が、わたしの彼氏なんだって思ったら、胸がキュンとなってドキドキして……なぜか息が詰まりそうになった。


”好き”って感情はうまく言葉では表せられない。


色んな想いがあふれて……切なくなる。


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