*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「あ”―――。めっちゃ疲れたー! 幼児のスタミナってハンパないな」


やがてシィ君はゼーゼーと息を切らして戻ってきた。


「そろそろ帰ろっか」


わたしはクスクス笑いながら、立ち上がった。

パンパンってスカートについた砂を払う。



公園の出口は、学校とは逆の位置にある。

つまりそちらに向かうと遠回りになってしまうのだ。

シィ君は一瞬キョロキョロと見渡して、「あっちから出よ」と出口ではない別の場所を指差した。

そっちは学校へ戻るには最短の方角だった。

たしかに、そちらからも出れないわけじゃない。

だけど、本来出口ではないそこは、わりと急な斜面を登らなければならない。

その坂を軽々と登っていくシィ君の後にわたしも続いた。


「きゃぁ……」


だけど、相変わらず鈍クサイわたしは、坂の途中で滑ってしまった。


シィ君は振り向いて「ほんま鈍クサイなぁ……」って笑いながら手を差し伸べてくれた。


「えっ……」


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