*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
――手、繋いでいいの?

戸惑いながら彼の顔を見上げると、目を細めて微笑んでくれた。



――トクントクントクン

って鼓動が早くなる。

そっと触れると、包み込むように握りしめてくれた。

それは想像していた以上に大きくて、温かかった。



――男の人なんだ

なんて当たり前のことを感じてドキドキした。



坂を登りきり公園を出てもシィ君は手を離そうとしなかった。

手を引かれながら、半歩後ろを歩く。


なぜかお互い無言だった。

シィ君の大きな手にすっぽりと包まれて、初めの緊張感は次第に安心へと変わっていった。



優しい風が吹いて、髪を揺らし頬をくすぐる。


シィ君の背中を眺めながら……

もしも今、『恋』ってタイトルで絵を描きなさいって言われたら、わたしはこの風景を描くかもしれない。


ふとそう思った。

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