*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
放課後の美術室。
今日はめずらしく部員が勢揃いしている。
あまり知られてないけど、この時期の美術部は一年で一番忙しい。
1ヵ月後に控えた学祭に向けて、最後の追い込みに入るからだ。
さっきから順番に、顧問の山田先生と出展する作品ついて相談していた。
「松本さんは、この風景画で良いんかな?」
山田先生はわたしが春先から描いていた安佐川の絵を指差しながら言った。
「あ……ハイ」と言った直後、慌てて否定した。
「あのっ……。やっぱりちょっと待ってください」
いつも誰にも見つからないように部屋の隅に隠していた1枚のキャンバスを取り出した。
「やっぱり、こっちにします!」
先生はじっとその絵を眺める。
「こんな絵、いつの間に描いてたんや?」
わたしはえへへと笑って誤魔化した。
先生はあごのあたりを触って、うんと頷いた。
「なかなか良い絵やな。……で、タイトルは?」
「『優しい白の情景』」
シィ君を包み込むように優しく降り続いていた粉雪の風景。
ずっと勇気が持てなくて、誰の目にも触れないように隠していた。
だけどもう大丈夫。
この絵には、わたしの想いがたくさんつまっているから。
シィ君に見てもらいたい。
ただそう思った。
そばにいたマリちゃんと目が合うと、優しく微笑んでくれた。
今日はめずらしく部員が勢揃いしている。
あまり知られてないけど、この時期の美術部は一年で一番忙しい。
1ヵ月後に控えた学祭に向けて、最後の追い込みに入るからだ。
さっきから順番に、顧問の山田先生と出展する作品ついて相談していた。
「松本さんは、この風景画で良いんかな?」
山田先生はわたしが春先から描いていた安佐川の絵を指差しながら言った。
「あ……ハイ」と言った直後、慌てて否定した。
「あのっ……。やっぱりちょっと待ってください」
いつも誰にも見つからないように部屋の隅に隠していた1枚のキャンバスを取り出した。
「やっぱり、こっちにします!」
先生はじっとその絵を眺める。
「こんな絵、いつの間に描いてたんや?」
わたしはえへへと笑って誤魔化した。
先生はあごのあたりを触って、うんと頷いた。
「なかなか良い絵やな。……で、タイトルは?」
「『優しい白の情景』」
シィ君を包み込むように優しく降り続いていた粉雪の風景。
ずっと勇気が持てなくて、誰の目にも触れないように隠していた。
だけどもう大丈夫。
この絵には、わたしの想いがたくさんつまっているから。
シィ君に見てもらいたい。
ただそう思った。
そばにいたマリちゃんと目が合うと、優しく微笑んでくれた。