*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
多分、お昼ご飯を済ませた後にここに来ているのかな。


それからというもの、彼らはほとんど毎日のように昼休みに現れた。


時々この窓から、あの人をこっそり眺めてた。

あの人を見るのが、なんでこんなにワクワクしてしまうのか、自分でもよくわからなかった。


ただ、

『あ……今日は髪形が違う。寝癖かな?』とか

『なんか体調悪そう……風邪かなぁ』

とか、その日の様子を見るのが楽しみになっていた。

話している内容まではわからないけど、みんなで大笑いしている姿がとても楽しそうだった。


――いいなぁ。

なんか、“青春”って感じ。


……って、わたしも青春なんだってば。


なんて自分につっこみたくなるよ。

はぁ……。


何をやってるんだろう。

中学の頃、高校生になれば楽しいことがたくさんあるような気がして、勝手に期待を膨らませていた。

だけど現実は何も変わらない平凡な毎日。

仲の良い友達に囲まれて、何の不満もないはず。

なのに、なぜか時々自分には何かが足りないような気がして寂しかった。


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