*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・恋はやっぱり


「あ……」


自分の部屋で教科書を取り出そうと鞄を開けて、気付いた。

シィ君の教科書。

英語の教科書を忘れてしまい、シィ君に借りたのだった。


返すの忘れてそのまま持って帰って来ちゃった……。


携帯を取り出して電話してみる。

だけど機械的なアナウンスが聞こえるだけで、繋がらない。


そう言えば、お昼休みに『バッテリーが切れた』って騒いでたなぁ。

まだ充電してないのかなぁ。

どうしよ。

明日でもいいのかな。

でも、ひょっとして今夜使うってこともあり得る?
(わたしだったらしないけど。シィ君は勉強してそうだもんなぁ……)


時刻は午後6時すぎ。

まだそんなに遅い時間じゃないよね。

思いきって家まで届けようかな……。

あ。それいいかも。

ちょっとだけでも話せるかもしれないし。

突然訪ねるなんて、緊張するけど……なんかちょっとだけわくわくする。



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