*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
正門には、違う学校の制服を着た男が一人立っていた。
制服をだらしなく着崩して、金髪に近いような茶髪。
遠目でもわかるぐらいチャラいイメージの男。
そして、その男に駆け寄っていく、見覚えのある後姿。
彼女がうれしそうに体を弾ませる度にサラサラと長い黒髪が揺れた。
仲良さそうに去っていく二人をオレはただその場で眺めるしかなかった。
最後に蹴り上げたボールは放物線を描いて数回バウンドすると、やがてどこかへ転がっていった。
あの日、公園でユウを抱きしめた時、
オレはちぃちゃんのことを意識的に考えないようにしていた。
ただ、目の前で泣いているユウが愛しくてしょうがなかった。
優しい声でなぐさめれば、ひょっとしたらこのままオレの方を向いてくれるんじゃないか……なんてバカみたいなことを思ったりしてた。
「もうオレに甘えんな」
オレはユウにそう言った。
だけどそれは、そうでも言わなきゃこの欲望を抑えられそうになかったからだ。
ちぃちゃんの為ではなかった。
オレは最低だ……。
今になってようやくサトシの言葉の意味を噛み締めていた。
自分の選択の過ちにやっと気付いた。
けど……もう戻れない。
あの子を傷つけるわけにはいかない。
自分の気持ちに蓋をして、上手くやるしかない。
誰も傷つかない方法はそれしかない。
そう思った。
制服をだらしなく着崩して、金髪に近いような茶髪。
遠目でもわかるぐらいチャラいイメージの男。
そして、その男に駆け寄っていく、見覚えのある後姿。
彼女がうれしそうに体を弾ませる度にサラサラと長い黒髪が揺れた。
仲良さそうに去っていく二人をオレはただその場で眺めるしかなかった。
最後に蹴り上げたボールは放物線を描いて数回バウンドすると、やがてどこかへ転がっていった。
あの日、公園でユウを抱きしめた時、
オレはちぃちゃんのことを意識的に考えないようにしていた。
ただ、目の前で泣いているユウが愛しくてしょうがなかった。
優しい声でなぐさめれば、ひょっとしたらこのままオレの方を向いてくれるんじゃないか……なんてバカみたいなことを思ったりしてた。
「もうオレに甘えんな」
オレはユウにそう言った。
だけどそれは、そうでも言わなきゃこの欲望を抑えられそうになかったからだ。
ちぃちゃんの為ではなかった。
オレは最低だ……。
今になってようやくサトシの言葉の意味を噛み締めていた。
自分の選択の過ちにやっと気付いた。
けど……もう戻れない。
あの子を傷つけるわけにはいかない。
自分の気持ちに蓋をして、上手くやるしかない。
誰も傷つかない方法はそれしかない。
そう思った。