*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
だけど、わたしは思ってるよ。

アカネちゃんはダサくなんかない。

ショートカットが似合う爽やかな顔立ちに、一度もメイクをしたことのないキメの整った赤ちゃんみたいな肌。

スラリとした長身は、流行に流されないシンプルな服を上手に着こなしている。

きっと今はまだ蕾なんだ。

あと何年かして花が咲き誇る頃には、周りの男の人が放っておかないような女性になる。

わたしが保証する。


いつか見返そうよ……。


アカネちゃんにはとびきり素敵な人がきっと現れるから。


「アカネちゃんは可愛いよ。すっぴんで、こんだけイケてるねんもん! わたしなんて、ホラ! 顔丸いし、鼻低いし……チビやし……どんくさいし……って、全然あかんやん! アカネちゃん、落ち込みそうになったら、わたしのこと思い出したらいいねん! だって、こんなわたしでも明るく前向きに生きてるんやから!」


って、なんかめちゃくちゃな、なぐさめ方になってしまった……。

だけど、元気になってほしい……。


伝わったかな?

伝わったかな?


アカネちゃんはじぃっとわたしを見て……それからプッと吹きだした。


「ありがと。そうするわ。そうやな、こんなちぃちゃんでも彼氏おんねんもんな」


そう言ってポンポンとわたしの頭を軽く叩く。


「こんなって何よー! ムキー……! 人に言われるとなんかムカツクー!」


「あはは!」


ぷぅっとむくれて文句を言うと、アカネちゃんはやっと笑ってくれた。

わたしも一緒になって笑う。


「あはは……は……」


だけどわたしには、アカネちゃんの話しの中で、一つだけ気になっていたことがあった。

彼女の成績なら本当はもっとレベルの高い高校に行けたはず。


ゴクリと唾を飲んでから尋ねた。



「アカネちゃん……って……岸谷君がいるからうちの高校に来たん?」


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