*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
その一言が全てだった。


さっきから下を向いてずっと見つめていた自分の足元の景色がブワッっと滲んだ。


「ちぃちゃん……オレっ……」


何か言いかけた彼の言葉を遮って、わたしは顔も上げずに言った。


「そっか。じゃ、これでサヨナラしよっ。シィ君、もう先行って……」


お願い。

早くこの場から去って。

でないと、涙をこぼさずにいられなくなるから……。


「ごめんな……」


視界の中からシィ君の靴が消えていく…。







どのぐらい一人でそこに立ちすくんでいただろう。


やっと顔を上げた。


まだ大丈夫。

涙は……まだ我慢できる。


わたしは走りだした。

彼を追いかけて。


ダメだ……。


これで終わりにしちゃダメだ。
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