*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
大きな通りに出た。

その脇の歩道では仕事や買い物帰りの人達が足早に歩いている。

その中をぬうようにして走る。


どこ?

どこにいるの?

シィ君……。


背の低いわたしの目線では、見つけられないよ。




しばらく走ったところで足を止めた。


ポケットから携帯を取り出して電話をかけた。


《……もしもし?》


出てくれた!


「シィ君! ごめんね! あのね、1つだけお願いがあるねん!」


《うん》


いつものシィ君の優しい声に、今まで我慢していた緊張の糸がプツンと切れた。
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