*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
――電話で良かった……。


涙がぽろぽろと溢れ出す。


でもダメ。

声に出しちゃダメ。


わざと明るい声を作った。


「あのねっ、これからも友達でいてくれる? 今まで通り」


《うん》


頑張れ。

あと少しっ。


「ほらっ。わたしケンちゃんとかみんなとも友達でいたいから。だから、また食堂に行ってみんなとご飯食べてもいい?」


《うん》


あと一言だけ!

どうか声が震えませんように……。


「ありがと。じゃ、また明日学校でね!」


――プツッ……


言えた。

最後まで言えた。


わたし女優になれるんじゃない?

すごいよ……名演技。
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