*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
さっきから、道行く人がわたしの泣き顔を不思議そうに眺めている。


「……っぅう……。う……」


携帯を握り締めたまま、その場でしゃがみこんで泣き出した。


「……っく……ひぃっく……」


近くで市議会の議員さんが演説を行っている声が聞こえた。

けど、彼の演説以上に、歩道で泣き崩れている制服姿の女子高生の方が注目を浴びていたかもしれない。




シィ君と付き合った1ヶ月間は、わたしにとって夢のような時間だった。



シィ君からもらったメール……

風を切って二人乗りした自転車……

公園で過ごした時間……

手を繋いだ瞬間……。



きっと一生忘れない。

わたしの宝物になった。



ありがと……。

ほんの少しでも夢を見させてくれて。


シィ君……。

ほんとにありがとう。

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