*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
校舎を飛び出した。


想像していた以上の冷たい風が頬を刺す。


その風に乗っている白いものに気づく。



――雪だ……!

雪が降り始めた。


目の前の景色が、雪のせいでずいぶん遠くに見えた。

目指すのは、各運動部の部室が並ぶ校庭の隅。


進むにつれて、人影が見えてきた。


その中にいるあの人の姿を確認した。



「シィ君……!」




声に反応して彼は振り返ってくれた。


「先、行っといて」

一緒に歩いていた人達にそう言うと、立ち止まってわたしが来るのを待ってくれてる。



「シィ君……」


ずっと走ってきたから、息があがっている。

はぁはぁ……。

この寒さのせいで吐く息がやけに白く目立つ。



「どうしたん?」


シィ君はいつもの優しい声でわたしの顔を覗き込む。


この声が大好きだった。

低くて優しいこの声が……。


だけど今その声をかけてあげるべきなのは……。


わたしは息が上がったまま話しだした。
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