*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
・シンデレラ
――ポーン……ポーン……ポーン……
目の前の空中を上下に行ったりきたり。
わたしはその丸い物体をさっきからぼんやり眺めていた。
明日から3年生になるという春休み最後の日。
いつものメンバーでサトシ君の家に集まっていた。
サトシ君の家には庭に大きな桜の木があって、夜桜を眺めながらお花見パーティでもやろうということになったのだ。
だけど、さっきから誰も庭には目もくれず、結局リビングで宅配ピザやポテトなんかをつまんで、いつものように他愛ない話をしながら過ごしている。
ようするに名目なんてどうでも良かったんだと思う。
ただみんなで集まって騒ぎたかっただけ。
――ポーン……ポーン……ポーン……
シィ君はみんなと会話しながら、テーブルに置いてあったオレンジを繰り返し放り投げてはキャッチしている。
まるでシィ君がするサッカーのリフティングのように、オレンジは計算されつくしたようなきれいな弧を描いて彼の手に戻ってくる。
目の前の空中を上下に行ったりきたり。
わたしはその丸い物体をさっきからぼんやり眺めていた。
明日から3年生になるという春休み最後の日。
いつものメンバーでサトシ君の家に集まっていた。
サトシ君の家には庭に大きな桜の木があって、夜桜を眺めながらお花見パーティでもやろうということになったのだ。
だけど、さっきから誰も庭には目もくれず、結局リビングで宅配ピザやポテトなんかをつまんで、いつものように他愛ない話をしながら過ごしている。
ようするに名目なんてどうでも良かったんだと思う。
ただみんなで集まって騒ぎたかっただけ。
――ポーン……ポーン……ポーン……
シィ君はみんなと会話しながら、テーブルに置いてあったオレンジを繰り返し放り投げてはキャッチしている。
まるでシィ君がするサッカーのリフティングのように、オレンジは計算されつくしたようなきれいな弧を描いて彼の手に戻ってくる。