*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
シィ君はこの春休み中に髪型を変えた。
色はそのままだけど、少しカットしてゆるめのパーマをかけたみたい。
いつものサラサラヘアではなく、ワックスで無造作に散らしている。
多分それはユカリちゃんが好きな髪型なんだと思う。
そんな些細な事で二人が恋人同士であることを連想してしまい、また胸が苦しくなる。
でも、もうこれで最後。
食堂に行くのはもうやめようと思っていた。
三年生になれば、クラスが替わる。
ユカリちゃんと違うクラスになれば、一緒にご飯を食べる理由はなくなる。
新しいクラスの友達とお昼を過ごせばいい。
そうすれば、二人の姿を見ずに済む。
そしていつかは、シィ君と関わることもなくなる。
それでいい。
そうすれば、きっと忘れられるから……。
シィ君の手元から浮き上がるオレンジを見つめながらそんなこと考えていた。
ふいに目の奥が痛くなる。
一瞬でも瞼を閉じたら、目の淵にうっすらと溜まりかけた涙がこぼれてしまいそう。
どうしよ……。
そう思った瞬間。
「ちぃちゃん! こっち手伝って!」
色はそのままだけど、少しカットしてゆるめのパーマをかけたみたい。
いつものサラサラヘアではなく、ワックスで無造作に散らしている。
多分それはユカリちゃんが好きな髪型なんだと思う。
そんな些細な事で二人が恋人同士であることを連想してしまい、また胸が苦しくなる。
でも、もうこれで最後。
食堂に行くのはもうやめようと思っていた。
三年生になれば、クラスが替わる。
ユカリちゃんと違うクラスになれば、一緒にご飯を食べる理由はなくなる。
新しいクラスの友達とお昼を過ごせばいい。
そうすれば、二人の姿を見ずに済む。
そしていつかは、シィ君と関わることもなくなる。
それでいい。
そうすれば、きっと忘れられるから……。
シィ君の手元から浮き上がるオレンジを見つめながらそんなこと考えていた。
ふいに目の奥が痛くなる。
一瞬でも瞼を閉じたら、目の淵にうっすらと溜まりかけた涙がこぼれてしまいそう。
どうしよ……。
そう思った瞬間。
「ちぃちゃん! こっち手伝って!」