*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
サトシ君て、心の中が見えるのかな。

というか、わたしが顔に出やすいの?


焦るわたしに、サトシ君はフワリと笑った。


「ガキの頃からやし、こんなんうちでは普通やで。それに、寂しかったらオンナ呼ぶし」


あ……そうか。

サトシ君っていつも彼女がいるんだもんね。



「おーい。ケンジ。これ、取りにきてー!」


サトシ君はみんなの輪の中にいるケンちゃんに声をかける。


「はいはーい」


こちらにやってきたケンちゃんは「うわっ。うまそ!」って嬉しそうな顔をすると、お皿を手にまたみんなのところへ戻っていってしまった。


あれ?

わたしが運ぶべきじゃなかったの?

サトシ君、わたしに手伝って、って言ったはずなのに。


不思議に思って首をかしげていると、またサトシ君と目が合った。


「ちぃちゃん、何か飲みもん作ったろうか?」


サトシ君はそう言うと、食器棚の中からシェーカーを取り出した。

ドラマなんかで見たことがある。

あれって、カクテルを作る時に使うものだよね。

わたしは振り返って背後の棚を眺めた。

そこには色んなお酒がずらりと並んでいて、まるでどこかのお店みたいだ。


サトシ君の言ってる飲み物っていうのは、きっとお酒のことだ。


ど、どうしよう……。

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