*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
とっさに目を瞑ってしまう。

無我夢中でとりあえず手を伸ばした。


「お。ナイスキャッチ!」


隣でサトシ君がつぶやいた。


あは……。

良かった。

どうにかキャッチできた。


ってゆか、なんでわたしに投げるのよぉ!

普通こういう場合って、サトシ君に向かって投げるもんでしょ?


口を尖らせて、めいいっぱい抗議の目でシィ君の方を見ると、シィ君は舌を出して“アッカンベー”をしていた。


何あれ?

わざと?

わざとわたしに投げつけたの?

シィ君ってほんとわけわかんない。




サトシ君はクスクス笑いながら、わたしの手からオレンジを抜き取ると、それも半分に切って果汁を絞った。


そして、さっき取り出したパイナップルジュースと絞ったばかりの果汁と氷をシェーカーの中に入れ、慣れた手つきで振る。

やがてそれを小さなグラスに移すと、スッとわたしの方へグラスを動かした。


「ハイどーぞ。お酒入ってないから大丈夫やで」


「あ……ありがと」


まただ。

この人って、なんでこんなにも人の心が読めてしまうんだろう。

何も言わなくても、お酒が飲めないってこと、ちゃんとわかってくれてたんだ……。

それとも、やっぱりわたしが単純だからわかりやすいのかな?

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