*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「キレイ……」


グラスを持ち上げて、その飲み物を眺めた。

オレンジとレモンとパイナップル。

3つの色が交ざり合ったきれいな黄色。

天然の持つ色には、やっぱりすごい魅力がある。


「シンデレラ」


「へ? シンデレラ?」


サトシ君のつぶやいた言葉に、間抜けな反応をしてしまった。


「うん。そのカクテルの名前。ノンアルコールやけど、それも一応カクテル」


「そうなんやぁ」


「『シンデレラは12時までに帰さなあかんから、お酒は飲ませないよ』ってこと」


「へぇ……。そんな意味があるんやぁ。なんかロマンチック」


「って、今オレが適当に考えてんけどな。ほんまは、『お酒を飲めない女の子でもパーティに出て、幸運をつかめますように』ってのがそのカクテルの由来。それにしても……」


サトシ君はプッて吹きだした。


「ちぃちゃんて、ほんま単純っていうか、人の言うことそのまんま真に受けるよな。アハハ」


何それ?

アハハって……。

なんだかバカにされてるみたい。


サトシ君との会話って、なんかいつも肩透かしをくらっている気がする。



サトシ君は自分の飲み物も作ると

「ちぃちゃん、せっかくやから庭で桜でも眺めながら飲もうや」

そう言って、庭にわたしを連れ出してくれた。



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