*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
庭には、小さなテーブルセットが置かれていて、わたし達はそこに腰掛けた。


春とはいえ、夜はまだ肌寒い。

柔らかな風に乗って桜の花びらが舞っている。

ふいにサトシ君の方を見ると、髪がサラサラと風に揺れていた。


ちょっと長めの柔らかそうな茶髪が彼のトレードマーク。

シィ君の真っ黒でハリのある髪質とは対照的だ。

その色は派手過ぎない自然な栗色で、染めているような気がしない。


ぼんやり眺めていると、サトシ君がその視線に気付いた。


「何?」


「あ……えーと。その髪って地毛?」


「うん。そうやで」


「え? ほんと? すごいキレイ! なんかハーフみたい」


「うん。だって、オレ……ハーフやもん。オヤジがフランス人」


えええええええ!

初耳だよー!


そうなの?


サトシ君ってハーフなの?


でもそう言われて見れば、なんとなく納得。


日本人にしては彫の深い顔立ちに、瞳も茶色がかっている。

そうなんだぁ。

ハーフなのかぁ。


なんて納得していると

「ぶはっ……」

ってサトシ君が吹き出した。

< 250 / 417 >

この作品をシェア

pagetop