*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
3年生になって、2週間が経った。

新しいクラスメイトとの親睦を深めるため、という理由からうちの高校はこの時期に遠足に行く。

遠足といっても、行き先は各クラス毎に違っていて、生徒が自由に決める。

うちのクラスは遊園地に行くことになった。



明日が遠足だという日の休み時間のこと。



「お菓子何買おうっかなぁ……」


「うーん。わたしはポッキーは絶対買うなぁ。つぶつぶいちご」


わたしとアカネちゃんは、遠足に持っていくお菓子について話し合っていた。



その時、ふいに視線を感じて顔を上げた。

実は、新学期早々ちょっとした出来事があったんだ。

それは……。


「アカネちゃんっ。タケル君、こっち見てるよ」


わたしはアカネちゃんに耳打ちした。


「え?」


アカネちゃんは、さっきから彼女の方へ熱い視線を送っているタケル君という男の子の方を見た。

とたんに、真っ赤になってうつむく。

タケル君までがほんのちょっと赤くなってる。


二人が付き合いだしたのは、3日前のこと。


タケル君は2年の時からアカネちゃんのことを密かに想っていて、同じクラスになったのをきっかけに告白し、二人は付き合いだした。

照れながら真っ赤になってうつむいているアカネちゃんは、ほんとうに可愛らしかった。

半年ほど前には失恋して泣いていたのがウソみたい。


恋って不思議だなぁ……。

突然やってきたかと思えば、上手く行くときは、なんの障害もなくあっさりとまとまる。


こういうものなのかもね。


上手く行かない恋は、やっぱりいくら頑張ってもダメで、

それは神様が『あきらめなさい』って言ってくれているのかもしれない。


わたしも早くふっきって、新しい恋を見つけたいな。

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