*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ねぇねぇ。アカネちゃん。アレなんて言うんやったっけ? あのお菓子……」


話題をまたお菓子のことに戻した。


「なんかさぁ……。1センチぐらいの“あられ”みたいなんで、ソース味やねん。駄菓子屋さんでよく見かけててんけど……。20円か30円ぐらいで……」


「何それ?」


アカネちゃんはキョトンとした顔をしている。

あ……。

思い出した。


「"どんどん焼き"や!」


「あーアレね。あるある。"どんどん焼き"って」


「わたし、アレ好きやねんなぁ。スーパーの駄菓子コーナーに売ってるかなぁ? 忘れへんように、手に書いておこうっと」


左手の甲にボールペンで“どんどん焼き”と書いた。

そんなわたしの行動にアカネちゃんは呆れ顔だ。

その時、ふいに頭上から声をかけられた。


「なぁなぁ。松本さんて、“天然ちゃん”なん?」


はい?


目の前にはクラスの男の子が二人、ニコニコ笑いながら立っている。

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