*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
中1の夏、ユウはオレの2つ年上の兄貴と付き合うことになった。

その橋渡しをしたのは他でもない……オレ。


バカなオレは、ユウが兄貴の彼女になって初めて、自分の気持ちに気付いた。

と同時に、彼女がオレのことを単なる幼馴染だとしか感じていないということを思い知らされたんだ。



ユウと兄貴は、半年ほど付き合ったと思う。

そして、それからユウは男を絶やしたことがない。

いつも半年ぐらいですぐに別れるが、だいたいその頃には別の男が現れる。

今回の浅野ってやつが何番目の彼氏になるのか、オレにもよくわからない。

そんな事情をよく知ってるオレら4人の間では、『ユウにだけは手を出すな、痛い目に合うぞ』みたいな空気が流れている。

だから、ユウも逆にオレらとは友達として付き合いやすいのだろう。


天使のようなルックスのユウはとにかく男受けが良かったが、当然、中学時代は、女子の間ではかなり評判が悪かった。

そんな事情が高校ではまだバレていないことを願う。

正直、ユウが女友達を連れて来たとき、オレはあいつに友達ができたことにホッとしたぐらいだ。


ユウのことを悪く言うやつはたくさんいる。

でも、オレは知ってる。

アイツはべつに男を手玉にとってるわけではない。

恋愛ゲームを楽しむかのように、気をひいてサヨナラするわけでもないし、ましてや騙して貢がせるなんて器用なことができるヤツじゃない。

いつも、どの恋も本気で相手を好きになって付き合ってる。

まぁ……そのサイクルが短いっつか、惚れっぽいっつか。
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