*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
なんの音か、なんとなく想像はつくけど。


ゆっくりとその音がする方を見上げ、思わず吹き出しそうになった。


女の子が窓から身を乗り出して、黒板消しをパンパン叩いている。

しかも、かなり真剣な表情で……。

ナゼ、キミはクリーナーを使わない……。

今時、パンパン叩いてるヤツなんかおらんでっ。


「こほっ……こほっ……」


ぷっ……。

むせてるしっ……。


オレはもはや、彼女から目が離せなくなってしまった。


すると、突然彼女がこちらを向いてきた。

まさか、視線に気付いたか?


“黒板消し子ちゃん”!
(勝手にあだ名をつけてみた)



彼女はオレと目が合うと、驚いたような表情をした。


そして……。


「き……きゃああああああああ……」


という悲鳴とともに、黒板消しが落下した。


「ブッ……」


堪えきれず、とうとう声に出して笑ってしまった。


「どしたん?」


みんなが不思議そうに尋ねる……。


「いや……なんでも………」


誰にも気付かれないように、みんなの会話に入る。

横目で黒板消しの落ちた方を盗み見しながら。

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