*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・青少年の悩み

夏休みに入った。


「勉強教えて?」

そう言って、ユウが朝からオレの部屋にやってきた。

なのに、さっきからベッドに寝転がって漫画ばっか読んでる。


「ちゃんと、勉強せーよ」


彼女の手から漫画を奪った。


「ひどーい」


ムクっと起き上がる彼女。

そして、そのままオレの腕を掴み、小首を傾げ、何かをねだるような上目遣いでオレを見つめる。


やばい……。

ちょっと潤んだ大きな瞳に吸い込まれそうになる。

軽い眩暈を起こしそうだ。


その目で見つめられたら、オレがこうするしかないってわかってるくせに、やるんだから……。


顔を近づけ、ユウの唇にオレのそれを重ねた。

唇から漏れる吐息を感じた。


ユウの手がオレの首に回ろうとしたその瞬間……

オレは彼女から体を離した。


「飯でも食いにいくか?」


ユウは唇を軽く咬んで、何か言いたげな瞳でオレを見つめる。


彼女が望んでいることを薄々感じてはいるんだ。

だけど、付き合って半年、オレ達はどうしてもこれ以上先に進めないでいた。


その原因はオレにあった。

オレの中に、ちっぽけでばかばかしくもあり、でも複雑な感情が渦巻いていた。
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