*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
遠慮がちにドアを開けた。


サトシの家は相変わらずガランとしている。

掃除は週に3日、通いの家政婦がやってくれているらしい。


ピカピカに磨かれたフローリングを歩き、2階の突き当たりの部屋へと向かった。



――コンコン


ノックをしてみるものの、返事はない。

熟睡してるのかな……。


悪いと思いながらもドアをそっと開けた。




とたんにオレの体は冷気に包まれる。

オレの部屋とは雲泥の差だな。

いったい設定温度を何度にしてるんだ。

地球の温暖化なんて、気にするわけないか、こいつが。



ブラインドが降ろされた部屋は薄暗い。

オレが開けたドアからの明かりで、まだベッドで眠っているサトシの姿が確認できた。


スースーと寝息を立てている。

布団が腰のあたりまで下がっていて、上半身は裸のままうつぶせで寝ていた。


ひょっとしたら、このベッドで昨夜……

なんてよからぬ想像をしてしまう。


その考えを頭から追い出そうと、窓辺に近づいて、勢いよくブラインドを上げた。


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