*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
冷や汗が背中を伝った。

サトシの鋭い目に、まさに心臓を貫かれたような気分だった。




「ふーん……」


心を読まれないように、できるだけ冷静に言葉を返した。




「……なんてね」


サトシはくすくす笑いながら言った。


「ウソに決まってるやん」



「は?」


「ヤルわけないやろ? つか最初からヤルつもりなんてないし」


はぁ?

オレの頭にクエスチョンマークが飛び交う。

十年来の付き合いだけど、オレはサトシっていう人物が未だによくわからない時がある。

こいつ……

ひょっとして、オレを煽るためにわざとあんなことを言ったのか?



「だって、あの子、浴衣着てんねんもん」
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