*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
ところが。



「着いたらな……

家の前におんねん」


「は?」


「あいつが……」


「誰?」




なんとなく結末を予測して、頬が緩んできた。





「……ケンジ」


「ブッ……」


その漫画みたいな展開に思わず吹き出した。

ケンジを見たときのサトシの顔を想像しただけで、可笑しくなる。


サトシの話はこうだった。


ちぃちゃんはサトシの家に来る事を了承した後、携帯でどこかに電話をかけたらしい。

サトシはそれを『遅くなるから』と家に電話しているもんだとばかり思っていた。


ところが、電話の相手は実はケンジだった。

家の前でケンジを見て呆然とたたずむサトシに彼女はこう言った。


「いくら看病のためでも、こんな時間に女の子を家に入れるなんて、サトシ君のお母さん、気にするかもしれへんやん? だからケンちゃんにも来てもらってん」


にっこり笑ってそう言う彼女に、サトシは返す言葉も見つからなかったらしい。

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