*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
カサッ……

サトシ君の服の音がしたと思ったら、わたしの目の前にスッと腕が伸びてきた。



思わず体がビクンと反応する。




「消しゴム……かして?」


「え? あ……うん」


なんだ。

消しゴムが取りたかっただけか。


消しゴムを手にして、サトシ君に手渡そうとした。

その時一瞬、彼の手に触れてしまい、慌てて手を引っ込めてしまった。

その拍子に消しゴムはテーブルを転がり床に落ちた。


サトシ君は何も言わず座ったまま腰を曲げて床に手を伸ばす。

今度は彼の手がわたしの足元に近づく。


それに反応して、脚がビクンと動いた。


もうー……。

何意識してんの?

エミコの言葉に動揺しすぎだよ。


サトシ君は、消しゴムを拾うと、ゆっくりと体を起こした。


そして…


「なぁ……。そんなに警戒せんといて?」
< 350 / 417 >

この作品をシェア

pagetop