*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・カッコ悪い

サトシの家を出て、しばらく歩いていると、忘れ物をしたことに気付いた。

明日にでもサトシに持ってきてもらおうか……

いや、戻ってもたいした時間のロスはないか。

そう判断したオレは今来た道を戻った。


今更チャイムを鳴らすまでもないと思い、そのまま玄関ドアを開けた。


バタバタという足音が聞こえ、廊下の向こうからちぃちゃんが走ってきた。


「ちぃちゃん……?」


彼女はオレの声に反応して一瞬顔を上げ、すぐに伏せた。

無言のまま玄関で靴を履くと、オレの横をすり抜け、そのまま飛び出して行ってしまった。


なんだ……?

今の表情……。


真っ赤な顔をして……。

泣いてたよな?


その瞬間頭にカッと血が昇るのを感じた。

靴を乱暴に脱ぎ、家に上がる。

急いで廊下を突き進んだ。

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