*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
2階にいるわたしを見上げて、満面の笑みでその人は言った。



わたしは部屋を飛び出し、階段を駆け下りた。


いったい、いつから?

ずっと外にいたの?




「サトシ君!」


バイクにもたれ掛かって立っていた彼に声をかけた。


「なんで? 電話してくれたら良かったのに!」


「たまたま通りかかっただけやねんて。今、来たとこやで」


そう言って微笑む彼の鼻は真っ赤だった。



沈黙。


お互いに言葉が見つからない。

どうしよ……。


わたしは目の前にあるバイクに話題を求め、どうでもいいような話をふってしまった。


「バイク、大っきいね」


我ながら、なんて間抜けな発言だろう……。


「え? うん、でかいやろ? 免許とんの、結構苦労してんで」


「そうなんやぁ……。バイクって高いの?」


もう……何、ヘンな質問しちゃってんだ、わたしってば……。


「そやなぁ。高いな、コレは」


ずっと不思議だった。

サトシ君はバイトもしてないのに、免許取って、バイク買って、旅行行って、いつもお金はどうしてるんだろう。

お母さんが出してくれてるのかなぁ。


そんな疑問に気付いたのか、サトシ君が答えた。


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