*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
・小さな会話
3年生の3学期なんて、あるようで無いようなものだ。
既に推薦入試で合格した生徒達は呑気なものだし、そうでない生徒達にとっては、何よりも目の前の受験が第一で、学校の授業なんて卒業さえできれば、後はどうでも良いといった雰囲気が漂っている。
当番が廻ってくるのもこれで最後だと思われる日直の仕事を片付けて、わたしは一人、放課後の教室に残っていた。
ふと教室を眺める。
そうだ……。
鞄の中からスケッチブックを取り出した。
受験勉強に追われて、最近はあまり絵を描いていなかった。
それでもいつも持ち歩いてしまうんだよね……。
スケッチブックを開き、ペンを握る。
そして、教室の一番後ろの席から眺める風景を描く。
お世話になった机やイス、黒板に教卓……。
この場所にたくさんの思い出が詰まってる。
わたしだけじゃない。
きっと生徒一人一人、それぞれにドラマがあって、みんなが色んな想いを抱えてこの教室で過ごした。
目を瞑って耳を澄ませば聞こえてくるような気がする。
みんなの笑い声や、先生の授業、チョークの音、それから……。
「ちぃちゃん?」
その声に振り向くと、シィ君がドアのところに立って、こちらを見ていた。
既に推薦入試で合格した生徒達は呑気なものだし、そうでない生徒達にとっては、何よりも目の前の受験が第一で、学校の授業なんて卒業さえできれば、後はどうでも良いといった雰囲気が漂っている。
当番が廻ってくるのもこれで最後だと思われる日直の仕事を片付けて、わたしは一人、放課後の教室に残っていた。
ふと教室を眺める。
そうだ……。
鞄の中からスケッチブックを取り出した。
受験勉強に追われて、最近はあまり絵を描いていなかった。
それでもいつも持ち歩いてしまうんだよね……。
スケッチブックを開き、ペンを握る。
そして、教室の一番後ろの席から眺める風景を描く。
お世話になった机やイス、黒板に教卓……。
この場所にたくさんの思い出が詰まってる。
わたしだけじゃない。
きっと生徒一人一人、それぞれにドラマがあって、みんなが色んな想いを抱えてこの教室で過ごした。
目を瞑って耳を澄ませば聞こえてくるような気がする。
みんなの笑い声や、先生の授業、チョークの音、それから……。
「ちぃちゃん?」
その声に振り向くと、シィ君がドアのところに立って、こちらを見ていた。