*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「もぉ。そんなこと、早く忘れてよ」
ぷぅとむくれて抗議すると……
「忘れへんよ」
シィ君はじっとわたしの目を見つめてそう言った。
メガネの向こうのその瞳があまりにも優しくて……わたしの心臓はトクトクと勝手に早く動き出す。
なのに、シィ君は急に表情を変えて、意地悪っぽく笑う。
「つか、あんな強烈なん忘れられへんって! 顔面めがけて黒板消しが降ってくるって、どんな状況? 普通ありえへんやろ」
「うう……ごめんなさい」
「オレ、ちぃちゃんが出てくるの、いつも楽しみにしててん」
「え……?」
「うん……楽しみにしてた」
シィ君は誰に言うでもなく、独り言みたいに、ポツリポツリと呟く。
「なんでかな……。不思議やな……。あの頃は名前も知らんかったのにな……」
シィ君……わたしもだよ。
黒板消しはシィ君の姿をこっそり見るための大事なアイテムだった。
名前も知らないシィ君のこと、あの窓からいつも探してた。
見ていたのは、わたしだけだと思ってたけど、そうじゃなかったんだね。
あの頃からシィ君もわたしの存在にちゃんと気づいてくれてたんだね。
なんか恥ずかしいな……。
ぷぅとむくれて抗議すると……
「忘れへんよ」
シィ君はじっとわたしの目を見つめてそう言った。
メガネの向こうのその瞳があまりにも優しくて……わたしの心臓はトクトクと勝手に早く動き出す。
なのに、シィ君は急に表情を変えて、意地悪っぽく笑う。
「つか、あんな強烈なん忘れられへんって! 顔面めがけて黒板消しが降ってくるって、どんな状況? 普通ありえへんやろ」
「うう……ごめんなさい」
「オレ、ちぃちゃんが出てくるの、いつも楽しみにしててん」
「え……?」
「うん……楽しみにしてた」
シィ君は誰に言うでもなく、独り言みたいに、ポツリポツリと呟く。
「なんでかな……。不思議やな……。あの頃は名前も知らんかったのにな……」
シィ君……わたしもだよ。
黒板消しはシィ君の姿をこっそり見るための大事なアイテムだった。
名前も知らないシィ君のこと、あの窓からいつも探してた。
見ていたのは、わたしだけだと思ってたけど、そうじゃなかったんだね。
あの頃からシィ君もわたしの存在にちゃんと気づいてくれてたんだね。
なんか恥ずかしいな……。