*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
・揺れる心
「ちょ……待てって」
オレは廊下でユウを呼び止めた。
始業を告げるチャイムが鳴り、廊下からは生徒達がまるで波が引いていくように居なくなっていった。
「授業始まるし。とりあえず戻ろう。後でちゃんと話しするから」
ユウの手を引こうとしたが、すぐに振りほどかれてしまった。
「……やっぱり」
「え?」
「ナオは、こんな時でも、わたしよりも授業が大切なんや」
「お前、何言ってんねん」
「時々不安になる……。ナオにはいつも優先順位があって……わたしよりも大事なもんがあるんかなって。もしもわたしが……例えば事故とかに巻き込まれても、ナオはそれでも冷静に判断して、自分のやるべきことを優先するんちゃうかなって思ってしまう」
オレは眉をしかめた。
ユウの態度や言葉がよく理解できずにいた。
「勝手に暴走すんなよ……? 何さっきから、言ってるん?」
「だって……。最近、勉強勉強って、そればっかり。電話してもすぐに切るし。メールも返してくれへん。忙しいのはわかるけど……。わたしより、大切なんかなって思うやん」
なんやねんそれ。
そういうこと、天秤にかけられへんよ。
どっちが大事とかじゃないし。
比べることでもない。
今は、オレにとって一生を左右するような大事な時期だ。
確かに、ユウのことをおろそかにしてるのも事実。
けど、そういうのどうしたらええねん。
「わたしだけを見てて欲しい。いつもわたしのことだけを考えて欲しい……ってそう思うのは、わたしのワガママなん?」
ユウはさっきからずっと逸らしていた目をやっとオレに向けた。
「ナオ……わたしのこと好き?」
オレは廊下でユウを呼び止めた。
始業を告げるチャイムが鳴り、廊下からは生徒達がまるで波が引いていくように居なくなっていった。
「授業始まるし。とりあえず戻ろう。後でちゃんと話しするから」
ユウの手を引こうとしたが、すぐに振りほどかれてしまった。
「……やっぱり」
「え?」
「ナオは、こんな時でも、わたしよりも授業が大切なんや」
「お前、何言ってんねん」
「時々不安になる……。ナオにはいつも優先順位があって……わたしよりも大事なもんがあるんかなって。もしもわたしが……例えば事故とかに巻き込まれても、ナオはそれでも冷静に判断して、自分のやるべきことを優先するんちゃうかなって思ってしまう」
オレは眉をしかめた。
ユウの態度や言葉がよく理解できずにいた。
「勝手に暴走すんなよ……? 何さっきから、言ってるん?」
「だって……。最近、勉強勉強って、そればっかり。電話してもすぐに切るし。メールも返してくれへん。忙しいのはわかるけど……。わたしより、大切なんかなって思うやん」
なんやねんそれ。
そういうこと、天秤にかけられへんよ。
どっちが大事とかじゃないし。
比べることでもない。
今は、オレにとって一生を左右するような大事な時期だ。
確かに、ユウのことをおろそかにしてるのも事実。
けど、そういうのどうしたらええねん。
「わたしだけを見てて欲しい。いつもわたしのことだけを考えて欲しい……ってそう思うのは、わたしのワガママなん?」
ユウはさっきからずっと逸らしていた目をやっとオレに向けた。
「ナオ……わたしのこと好き?」